【経営課題解決ワークショップ|Ascension事例】中外製網株式会社 「創業113年の漁網メーカーが異業種との化学反応で新規事業を生み出す」

中外製網株式会社は石川県金沢市に本社を置き、日本全国の定置網の製造販売を営んでいます。今回、100年以上続く歴史ある事業を営む老舗漁網メーカーからの新規事業の創出をテーマにworkitの課題解決型ワークショップ「Ascension」に参加いただきました。   

中外製網株式会社3代目となる現専務取締役・柴田彰一郎さんにお話を伺いました。

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林:最初に中外製網さんの事業について教えていただけますか?

柴田: 中外製網では日本全国の漁業者へ定置網の製造販売を行っています。漁業者と一緒に船に乗り、漁場調査から定置網の設計・設置までをできる漁網メーカーは現在日本に3社しかありません。お客様の漁業の形態に合わせて、オーダーメイドで漁網を製造しています。現在の中外製網としては設立88年になりますが、事業の歴史は明治40年に創業した会社から始まり、113年続いている事業です。

林:ありがとうございます。歴史ある事業を営む中外製網さんですが、どういったきっかけでworkitにご参加いただいたのでしょうか。

柴田:時代の変化に伴い、漁業者は年々減少しています。近い将来自身が次世代の経営を担う立場となることを考えた時、既存事業だけでは生き残っていくことはできないと思っています。一方で、長い歴史ゆえに文化があってなかなか同じ事業体から抜け出せないと感じているところがありました。workitに参加したのは、外からの新たな刺激や視点が欲しいと感じていた時期でした。

自社の課題に対して異業種から意見をもらい、化学反応を起こす

林:workitのワークショップで実施する、自社の経営課題に対して自社の社員と異業種の参加者がチームになって向き合う、というのは中外製網さんが求めていた外からの視点が得られる機会だったという事ですね。実際にご参加いただき、いかがでしたか?

柴田:やはり自社をテーマにした課題というのはとてもよかったです。他の研修などで自社の話をすることはあっても、参加者が本気で自社のことを考えてくれる機会はないですよね。それだけでも参加する社員のモチベーションは上がりますし、実際に異業種の方から意見をもらったことで刺激を受け、視座が高まるとても良い機会になりました。

林:ありがとうございます。他の研修やワークショップとの違いで感じたことはありますか?

柴田:一番よかったのは圧倒的なアウトプット量ですね。インプット中心の研修が多い中で、workitではとにかくアウトプットが重視されていたのが印象的です。参加者がフィールドワークを通じて、自社が気づいていない本来持っているはずのものを引き出してくれたという感覚です。

普段の業務では自分からアウトプットを出す機会があまりないのですが、workitでは化学反応がおきながら、無理やりでも出さないといけないというのがよかったのだと思います。

林:中外製網さんのワークショップは、もう出ないところまで出し尽くした感じでしたね。徹底的に出し尽くして、最終的に3日目の朝に出てきたものが発表に繋がっていました。

柴田:社員も含めて参加者の皆さんが極限まで向き合ってアウトプットしてくれたと感じています。

圧倒的な行動とアウトプット量が、論理的思考力を高め視座を変える

林:ワークショップに参加した社員の方にその後の変化はありましたか?

柴田:当社から参加したメンバーは、元々能動的なメンバーでしたが、それが加速したと感じています。あとは分析力、立ち止まって考える力がついたと思います。林さんがワークショップの中で「なぜ」という原因追求について繰り返し発言していたと思うのですが、そこから論理的思考力が高まったと感じています。

林:3日間で行動とアウトプットを徹底して繰り返していく中で、同時に論理的思考力も身についたのですね。

柴田:論理的思考を学ぶ研修はたくさんありますが、このワークショップでは、アウトプットと同時に論理的思考を高速で回していくという実体験がとても良かったのだと思います。

林:ワークショップを通して、経営者としての柴田さんの気づきはありましたか?

柴田:自分自身も研修に向けて、自社の現状や課題を整理することができたのはとてもよかったです。一方で、私が参加者の方々の属性や業界のことをもっと知っていたら、もっと参加者からの意見やアイデアを引き出せたかもしれない、という欲張りな反省点は少しありますが、情報がない中で全く知らない業界の課題に食らい付いてくれたのはありがたいなと思います。

林:業界も地域も全く違う参加者でチームを構成する良し悪しはどうしてもありますよね。チームビルディングについて感じたことはありますか?

柴田:そうですね。workitでは講師の方がうまくチームビルディングや役割について気を配ってくれていたのは印象的でした。それぞれの参加者の良さが生きるようにうまく講師が引き出してくれた結果、化学反応が起きたのだと思います。当社から参加していた社員も業界や自社のことを知らない相手に伝える難しさにぶつかりながらも、工夫して伝えながら引き出していく、ということを学んだようです。

林:workitで出てきた提案は、その後事業化に向けて進捗しているのでしょうか。

柴田:workit終了後一定期間は参加した社員が進めていたのですが、既存事業との兼ね合いでそのまま進めることが難しくなり、現在は私が受け継いで進めています。提案した社員がそのまま事業化までできれば良かったのですが、新規事業の立ち上げが如何に難しいか、そして既存事業が成り立っていることが如何にすごいことなのか、を改めて気づくことができたということは良かったことだと思っています。

新規事業を生み出す難しさをわかっている社員が、既存事業に向き合ってくれているというのは、経営者としてとても頼りになります。

林:ありがとうございます。最後に、このワークショップをどんな会社の方にお勧めしたいか教えていただけますか。

柴田:そうですね。世代交代が間近で、次世代の経営者が自社のことを整理していくタイミングにお勧めしたいです。次の経営チームとなる社員の方に参加していただくことで、経営者の想いを受け取り、自分は何をしていくのか、と考える機会になると思います。次世代の経営チームを育てていきたい、事業継承真っ最中の会社には良いワークショップであると思います。

林:時間軸の差はあれど、必ず社長の頭には事業承継をどうしていくか、ということがあるのは普段から経営者の方と接していて肌で感じています。そして同時に欠かせないのは新規事業を作っていくことですよね。

中外製網さんの次世代経営チームの新たな展開がとても楽しみです。本日はお忙しい中ありがとうございました!