【経営課題解決ワークショップ|Ascension事例】農事組合法人One 「社員にも経営の視座を持てるような経験をさせたい。Workit Ascensionを通して経営チームが進化!」
農事組合法人Oneは「農すことは、生きること。」という理念を掲げ、石川県金沢市才田町で、土づくりからはじまるOnly Oneの循環型環境農法で水稲・れんこんを中心とした農作物を生産しています。作り手中心の事業運営を行っているOneでは、農業を事業としてより発展させていくための強いチームづくりをしていきたいという想いで、workitの課題解決型ワークショップ「Ascension」に参加いただきました。参加当時の経営課題とAscension参加後の組織の変化について、副代表の宮野 義隆さんにお話を伺いました。
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林:まず農事組合法人Oneさんの事業について教えていただけますか?
宮野: 農事組合法人Oneでは、水稲・れんこん・にんにく・ジャガイモなどの農作物を生産し、販売しています。現在は水稲・れんこんの生産が中心ですが、以前はじゃがいも・にんじん・とうもろこしなどを中心に栽培していました。最近では農福連携※のプロジェクトとしてイチジクの生産も行なっています。
※農福連携:障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組
林:トウモロコシを以前食べさせていただきましたが、本当に美味しいんですよね。農福連携も含めて、Oneさんはどのような体制で運営されているのでしょうか。
宮野:農事組合法人Oneは、実家の米農家を継いだ兄とれんこん栽培をしていた私が2013年に設立しました。現在は9人の社員とパート2名に加え、農福連携の就業支援で常時4人の方が従事しています。
我々には作る責任があると思っています。私たちの生産体制の特徴として、品目ごとにリーダーをおき、それぞれが責任ある立場で生産できるような体制を敷いています。農業においての責任とは、作物を育てるという過程もそうですが、その準備段階の土を調べて肥料をどうするか、そもそも予算をどれくらいかけて、どれだけの金額で売るのか、その仕組みを自分で考えるという責任制としました。
そうすることにより、直接の売り先の農協だけでなく、その先のスーパーや最後に商品を手に取るお客様までを一連で考えることができると思ったからです。作り手がマーケットと繋がることは、作り手のモチベーションの観点でも重要であると考えています。
林:Oneさんは、従業員の方それぞれが独立した農家集団のようなイメージだと思っていま
チームとしての会社で、農業を一つの事業として運営している感じですよね。
宮野:農家だけど農家じゃない、「農業家」と名乗っているのもそこを意図しています。
現場のリーダーの視座を上げて、若手の成長を促す
林:ありがとうございます。そんな中Oneさんとしてworkitに参加いただいた経緯をお伺いできればと思います。Oneさんには2021年秋にworkitにご参加いただきましたが、当時どのような目的でご参加いただいたのでしょうか。
宮野:社員にも責任を持った農業家として事業を考えてもらおうと考えた時、自分は青年会議所などで経営やビジネススキルについて学ぶ機会があったが、社員にはそういう機会がないと気づきました。自分ばっかり勉強してスキルをつけても、自分一人が走って社員についてきてもらえなければ意味がない。社員にも等しく学ぶ機会があればいいと思った時にworkitに出会いました。
林:他にも経営やビジネスを学ぶ研修やワークショップはあると思いますが、どのような理由でworkitを選んでいただけたのでしょうか。
宮野:2泊3日の短期間で集中して学べるプログラムになっていることや、自社の経営課題に対して全く違う業界の人の客観的な意見も聞くことができるということも魅力的でした。
また、自身が以前に青年会議所で受けたプログラムで、「そもそも何のために自分は存在しているのか」みたいなことを考えることがあったのですが、そういったことを考える機会をこの先リーダーとなる社員にも持って欲しいと考えていて、workitはその機会も得られるプログラムだと感じたからです。
林:workitでは経営課題に向き合うと同時に、自分自身に向き合うことも大事にしています。そういったところが宮野さんの考えに合ったのですね。
宮野:そうですね。若手に対して自分自身が経営者としての姿を見せていくことが必要だと感じていたのですが、自分は現場にはいないので日々の中で接していくのは限界があります。そのためには現場のリーダーが経営者として育っていき、若手に対して将来像として示せるようになることが大事だと思いました。
真の顧客とは、という問いに向き合うことでやるべきことが定まる
林:実施にworkitに参加いただき、いかがでしたか?
宮野:ワークショップには生産現場のリーダーと営業のリーダーの社員に参加してもらいましたが、送り出す時は正直とても不安でした。私自身は経営をしていかないといけないという思いがあったから向き合うことができる課題でも、社員の立場ではどう感じるか。やらされ感を感じるだけにならないか、という不安もありました。
林:実際はお二人とも本気で向き合って参加してくださいましたよね。
宮野:自社のリアルな課題をテーマにしていたことがよかったと思います。結果としてこのワークショップを通して、それぞれの役割が明確になり、経営チームとして次のステップに進むことができたと感じています。
林:私がとても印象的で嬉しかったのは、workitへの参加以前は経営会議をやったことがなかったが、workitを経て、経営会議ができるようになったと後から聞いたことです。どんな変化があったのでしょうか。
宮野:2人とも発言の重さが変わったと感じています。「どうなるんだろう」ではなく、「こうしていかないといけない」という発言に変わり、視座が一段上がって経営チームとして会話ができるようになりました。
ワークショップのフィールドワークを通じて、真の顧客に聞きにいくという一歩踏み出したことから、まだまだいく場所がある、やるべきことがあるということに気づいたようです。顧客の声を直接聞くことで、直接聞いたらやらざるを得ないよね、ということでふわふわしていたところから、自分たちがやるべきことが定まったようです。
林:3日間のプログラムの中で、印象に残っていることはありますか?
宮野:やはり自社以外の参加者からの客観的な意見が聞けたことでしょうか。ある程度の経験のある社外の方が意見をしてくれるということがとても響いていたと思います。
もう一つは、いい意味でゴールがないこと。他の研修ではある程度のゴールを持っていて、そこに向けてどう導くか、という設計のものが多い気がします。workitのワークショップはそこがニュートラルなので、当社の想いを聞いたうえで講師や参加者の方が意見を述べてくれたことが印象に残っています。
林:参加者の方々はゴールがない中でもがきながら向き合ってくれた印象でした。
宮野:参加していたメンバーは正直しんどかったと思います(笑)。ただ、その中でも自社のことをみんなで一緒に考えてくれる空気感がとてもよかったと思っています。もがいて、考えたことをひっくり返されたりしながらも、最終的に振り返って成長を感じられたのではないでしょうか。
正直社員にはしんどいことをやって欲しいとは思わないです。でもいろんなことに気づいて自分の仕事として取り組んでもらいたいのでこのワークショップに参加してもらいました。
林:ありがとうございます。最後に経営者側として宮野さんがこのワークショップを通じての気づきなどがあれば教えていただけますか。
宮野:そうですね。今までは農業を通じた社会貢献やSDGSといった大きなテーマを掲げて社員を牽引しようとしていたところがありました。もちろんそれは大事なことなのですが、それは経営者の目線で、社員個人にとってはピンとこないんですよね。
このワークショップに向き合う社員の姿を見ていて気づいたのは、まず目の前の喜んでくれる人を明確にする、ということでした。お金を払ってくれる人をどう満足させるか。そういったアプローチが社員のモチベーションに繋がっていくものであると気づきました。そこが見えて初めて、その先の社会貢献に繋げていくことができると気づきました。
林:今回のワークショップを通じて、Oneさんの益々の事業発展と組織づくりのお手伝いができていたらとても嬉しいです。本日はお忙しいなかありがとうございました!